読書『感情労働シンドローム』(岸本由紀子)

感情労働シンドローム (PHP新書) – 2012/10/16 岸本 裕紀子 (著)

シンドロームとは症候群。ある病的状態の場合に同時に起る一群の症状をいう。

感情労働」という言葉は自分にとっては新しい言葉である。

感情労働とは、人を相手にしたシチュエーションで、職務上適切な感情を演出することが求められる仕事のことです。気持ちの管理の抑制にポイントを置いた精神的な労働です。~

私も、研修や上司による指導、以前所属していたサークルなどの場で「笑顔」「上機嫌」が大切だと言われていきた。表情を作ることも、仕事なのだ。

今や、職業のほとんどが第三次産業、サービス業である。笑顔で応対し、客の機嫌を損ねないこともサービスの一環だ。そんな流れも「感情労働」という言葉がクローズアップされた所以であろう。

感情労働の問題が深刻になったのは、仕事に、自分という人間のすべてを投入しなければならなくなったということと密接に結びついています。~

自分のすべてを投入しなければならない働き方のことを「全人格労働」というらしい。なんと恐ろしい言葉だろう。人は働くために生きているのだろうか。いやそうではない。生きるために働くのだ。

「自分のすべてを投入できるか」という問題は、わが国の職場の使用者が労働者を評価する、教師が生徒を評価する、その方法を変えてきたこととつながりがあると私は考える。要するに、成果だけではなく、意欲とか、態度までも評価するようになったことだ。