読書『愛に生きる』Ⅳ

 

著者の教育論が続く。

~義務教育の9年間に、一つだけでもいいから、それぞれの子にしっかりとした能力を身につけてやってほしい。学科でなくてもいい。たとえば9年間の毎日、ひとに親切にする行動と心を育てるための教育が、日常生活において学校と友だちと家庭とにおいてなされたら、日本はどんなに楽しい社会をつくることができることか。~

本当のところはこうでなくてはならない。しかし、たくさん積まれた教科書、教材、スケジュールいっぱいに詰め込まれた行事。管理職、教育委員会、保護者からの圧力。それらを前にすると、「義務教育の9年間」を担っていることすら見えなくなってしまう。
~みんな教えることだけに夢中になって、育つという子どもの生命の実体を忘れている。そしてどうしたら能力が身についていくかということについて深く追求しなかった。つまり、教育の教ばかり行なって、目的であるところの育のほうを忘れてしまったということです。~

教えることだけに夢中になるのではない。教えることで精一杯なのだ。道徳、英語で増える授業時間。教えることが多すぎて、教師にも、子どもにもゆとりがないのだ。