読書8‐12『生き方の不平等』(白波瀬 佐和子)

生き方の不平等――お互いさまの社会に向けて (岩波新書)  – 2010/5/21白波瀬 佐和子 (著) 2019年9月14日から16日にかけて5ページ視写。

筆者は東京大学大学院人文社会系研究科准教授。私より7歳年上。「日本社会で実際に選択できる生き方には、収入やジェンダー、年齢によって著しい不平等がある。その不平等をなくしていく道を『お互いさまの社会』の創出に見出してゆく」とあった。

まず子どもの不平等から述べられている。

~国が子ども一般を対象として、子どもたちの生活を保障するという観点はほとんどありませんでした。子どもとしての権利を親とは独立して保障することに国は正面から取り組んでこなかったといってよい。~

今、ジャニーズの性加害が大きな問題になっているが、それとも関係があるような気がする。子どもの教育や成長については家族、親にすべて丸投げし、国が、社会が一体となって子どもを育てていこうという仕組み、風潮になっていない。社長も、子どもの人権を考えずに、性の対象としかとらえず犯行に及んだのではないか。

~親たちは貧しかった自分とは違った豊かな人生を歩ませたいと、子どもたちへの期待を膨らませ、子育てや教育に力を注ぎました。こうして子どもの期待はいつしか自分よがりのものになり、親からの一方的な期待や要求が子どもたちにとっては逃れることのできない息苦しさともなっていきました。~

国もあえて「社会全体での子育て」を望まなかったのだ。家庭や母親に丸投げし、社会全体が経済成長に向かうように仕向けたのだ。

~自分のお腹を痛めた子は大切な子ですが、この世に生を享けたすべての子もまた我々の子です。我が子のみならず、直接手を触れることのできない子もまた大切な子どもたちであるという気持ちは、世代を超えたお互いさまの関係を形成することにつながります。~

すべての子どもを大切に思う気持ちが「お互いさまの社会」につながるのだ。(R5.9/13記)