読書8-6『「自分には価値がない」の心理学』(根本橘夫)

「自分には価値がない」の心理学 (朝日新書)  – 2016/11/11 根本橘夫 (著)

筆者は、心理学者で大学名誉教授。著書は筆者10冊目の単著。新書が多い。

コメントには、『がんばっているのにつらいことが多い。誠実であるがゆえに生きるのが苦しい。そんなふうに感じている人の心の底には、「どうせ自分なんか」という無価値感が横たわっている』とあった。

もう5年も前になる。私は前任校で、まさに「がんばって」いた。職場に遅くまでいることはなかったが、全国的な教育研究サークルに通い、教材研究、学級経営研究など寝食を忘れるほどにのめり込んだ。だが、いつも満たされなかった。手ごたえを感じずに、苦しんでいた。

~自分自身であることよりも、自分に価値があることを他者に証明しようとすることへと心が向いてしまう。そのために人より頑張り屋で、人よりいい人で、人より優れていなければならない、という思いに束縛されてしまい、生きることが苦しくなる。~

まったくこの通りだ。私は「いい先生になりたい」というより、「いい先生に見られたい」という思いの方が近かったと思う。自己顕示欲が強かったのだと思う。そうなれるならどんな努力も惜しまない覚悟だった。

~自己価値観のしっかりとした人は、相手を称え、自分も頑張ろうと建設的な方向へと意識を向ける。しかし無価値感の強い人は自分が劣ることに過度にこだわり、自分を否定する方向に心が動いてしまう。~

自分が劣ることにこだわっていたけど、自分を否定はしなかったかも。

~本来の自分を抑えて周囲に適応し、周囲の気に入られるように自分を形成する。これを代償的自己と呼ぶ。無価値感の強い人ほど、代償的自己もまた強固に形成される。~

無価値感はどうかわからないが、代償的自己は強固だったろうな。(R5.6/6記)