読書7-17『森田療法』(岩井寛)

森田療法 (講談社現代新書)  – 1986/8/19 岩井 寛 (著)

仕事では年度末業務、卒業業務をこなし、同時に何件も労働問題を抱える組合活動。先週から今週にかけて、正直押しつぶされそうだった。今日の組合の会議を終え、一区切りがついた。

この本、大手古本屋で110円で購入したのだが、難しそうでなかなか読み出せなかった。意を決して読んで感銘を受けた覚えがある。

~人間の欲望には時には美を求めることがあると同時に、醜に関心を抱くこともあり、善を求めると同時にその反対の悪に身を浸したいと考えることもある。森田はこれを人間性の真実、あるいは事実と考えるのである。~

世の中には美談もあるが、犯罪も全くなくならない。性善説でも、性悪説でもない。両方を兼ね備えているのが人間なのだ。

~「あるがまま」は自己実現欲求(森田は「目的本位」と呼んでいる)を遂行するための手段であって、自己否定的な欲求を「あるがまま」にしておき、もう一方の自己実現欲求に従い、これを実践するときに、人間には進歩があるとするのである。~

説明にも「こころに潜む不安や葛藤を“異物”として排除するのではなく、『あるがまま』に受け入れ」とある。「あるがまま」というのがこの療法のポイントだ。自分の負の部分を打ち消そうとするのではなく、人間性の真実ゆえにそれも認め、正の部分を伸ばしていこうという考えなのだ。(R5.3/17記)