読書『日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか? 』Ⅴ

日本の労働はなぜ違法がまかり通るのか、次は日本型雇用に話が及ぶ。

~日本型雇用の場合には、本来、商品にはなじまないはずの人間の側が、企業にとって必要な在り方に自ら「自発的」に順応していくのだ。どんな仕事でもする「意欲」「態度」に積極的にはまり込んでいってしまう。そこには歯止めがない。~

日本型雇用と言えば、年功賃金、終身雇用、企業別組合の3つが特徴だ。上の文章だと、どうしても「意欲」「態度」に目が行ってしまう。今から30年前以上になる。教育界では「新しい学力観」という語が謳われた。そして児童生徒の評価の観点も、「関心・意欲・態度」がいの一番に挙げられた。本人の種々の能力以前に、全人的なもの、人間そのものを評価する風潮が確定されたのだ。しかも「どんな仕事でもする」意欲、態度なのだ。それは言い換えれば、「どれだけでも仕事をする」と同義だろう。

~今でも日本人は世界で最も労働意欲が高く、また会社に対する信頼が厚い社会だろう。それは日本型雇用システムが会社の仕事に没入する人間をたくさん生み出したと同時に、そのシステムが社会に普及することで日本人全体が「システムに則した考え方や行動」をするようになったからだ。~

~命令が厳しい代わりに雇用が保障される、それが日本の労働の「正しさ」すなわち「労使合意」だったのである。~

「働き続けるほど給料は増えるし、定年まで面倒見てやるから、どんな命令にも従い、身を粉にして働け、それでいいだろう」ということだ。

~どんな働かせ方をするのか、使用者の「意のまま」だということだ。日本型雇用の効率性と「過酷労働」は表裏の関係にある。~

やはりクビにならない程度に、自分の働き方を制限するしかない。日本型雇用を逆手にとるしかない。(R4.2/14記)