読書7-1『親ができるのは「ほんの少しばかり」のこと』Ⅱ

同じような意味のことが書かれている部分があった。それは「暗さ」とか「暗闇」という言葉である。

~街ばかり人間の内面の汚れを無視して綺麗になられても困る。安らがない。街に暗い路地のようなものがなく、清潔で明るいところばかりになると心の中に抑圧を溜めてしまう人が出てくる。人間はそういうものだと思います。~

妙に共感してしまう自分がいる。自分だって全くの善人ではない。狡さ,嫌らしさをつい出してしまう。そして清廉潔白な人には近づきがたく思ってしまう。よくないんだろうけど、それが素の自分なのだ。そして、素の心の色が、明るいのか暗いのか、それは千差万別なのだ。明るいのが正しい、多数派だからと言って、暗さを抑圧してはいけない。

~知らん顔をしてあげることも大事。子供というものは親にすべて見られていたら成長しないところがあると思う。暗闇で育つという部分が人間にはあるのではないでしょうか。親の目の届かない暗闇をなくしてしまったら育たなくなる。~

干渉しすぎるな、距離感を保て、ということか。

~他者への理解というのも、ほどほどにしなければいけないのでしょう。人間の暗闇は底知れなくて実は怖いものです。それをやたらに知ろうとしてはいけないのではないか。子供に対しては詮索して根掘り葉掘り知ろうとするのはとても乱暴で有害なことなのではないでしょうか。~

子供を理解しようと、いじめの実態をつかもうと、アンケートを行う。が、アンケートをとったからと言ってすべてを知ることができるわけではない。子供が常に正直にすべてを吐露するわけではない。アンケートが事実だと鵜呑みにしてははいけない。アンケートは、問題が表面化した時に、誠実に対応していたと主張するための「アリバイ作り」でもある。(R4.9/26記)