読書6-19『広く弱くつながって生きる』(佐々木 俊尚)

広く弱くつながって生きる (幻冬舎新書) – 2018/3/29 佐々木 俊尚  (著)

筆者は新聞記者からフリーになり、付き合い方を「浅く、広く、弱く」に変えると、仕事や家庭も好転したそうだ。人間関係の悩みで消耗してはいけない、という本のようだ。まずは日本型組織の弊害が書かれている。

~延々と会議をやっているような感覚の延長線上で仕事を考えている。労働時間を消費しているという感覚がない。あるいはやたらと儀式が好き。こういう感覚が日本の労働生産性を著しく下げている最大の要因ではないか。「忙しい、忙しい」といつも言っていますが、その大半は余計な打ち合わせや儀式などで占められているのではないでしょうか。~

我が国が長時間労働であること、労働生産性が他国に比べ著しく低いことは知っている。だが多くの働き手はそれについての関心は薄いと思う。多くの労働者は労働生産性という言葉すら知らないんじゃないか。(少なくとも教員は。)

労働時間を消費するということは、結局は自分の時間を無駄遣いしている、自分の生命を無駄遣いしているということだ。

ヒエラルキーという固定化された構造があり、それにそって上手く物事を進めないといけない。つまり、縦の強いつながりで仕事が進んでいくわけです。一方フリーの仕事は完全に横のつながり(水平構造)です。ヒエラルキーとは無縁の世界ですので、打ち合わせや儀式はほとんど必要がありません。~

打ち合わせや儀式がどうにも受け入れられないから、組織から離れフリーになったのだな。フリーとは一匹狼と言っていいだろう。ところで「組織に安住」という言葉がある。安住できるかわりに、打ち合わせや儀式(しがらみ)に付き合わねばならない。どちらがいいのだろう、結局は個人の好みなのだろうか。(R4.8/26記)