読書『日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか? 』Ⅳ

労働組合についての記述の続きだ。

労働組合は労使の対等性を確保することで、市民社会の原則を修正、実現し、長時間労働や貧困労働を防止する。これによって労働市場=市場社会そのものを存立させるという、きわめて重大な使命を帯びているのだ。~

きっと市民社会の原則というのは、市民がみな平等だということだろう。労使関係は、どうしても使用者優位になる。使われるものは卑屈になりがちである。個人の力は弱いが、組合の力は強い。

~日本の職場組織率は20%を下回る水準にまで低下した。そしてその20%の労働組合も、企業別労働組合であり、争議活動もほとんど行われておらず、労働協約を形成する力も弱い。~

御用組合の組織率はほぼ100%と言っていいだろう。毎年4月1日に新卒が来て、その日の勤務時間終了には分会長から声をかけられる。それを断る強者はほぼ100%いない。組合費は天引きされ、組合員だと自覚するときは職場の分会長か役員をやらされるときだけだ。賃金闘争はしているようだが、それ以外の組合らしい活動はほぼないだろう。

~2人集まって規約を作れば、それは労働組合として保護される。~

この言葉は、ここに書かれていたのか。私は、この一文を心の支えにしていた。わが組合の維持拡大については、存立にかかわる大問題である。どのように拡大すべきか頭を悩ましたが、もう吹っ切れている。なぜなら、強く勧誘したって、その人自身が問題意識を持ち活動しなくては、意味がないのだ。無理に勧誘しても、結局組合費を滞納し、音信不通になるだけなのだ。だから、もう拡大については危機意識はない。どんなに少なくても、私一人にならなければ、組合として保護されるのだから。(R4.2/11記)