日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか? (星海社新書) – 2013/4/26今野 晴貴 (著)
私は労働組合の幹部をやらせてもらっている。その点だけは、役に立っていると胸を張ることができる。
~契約上の権利というものは「主張しなければ実現しない」ということだ。サービス残業は違法なはずなのになぜまかり通っているのかと言えば、それは労働者が契約上の権利を行使していないからである。~
我々にとって「主張」ほど苦手なものはないのではないか。「空気を読め」とか同調圧力とかで個々人が、主張というものができないのだ。私は、言葉では主張しない。だが、態度で主張する。勤務時間を超えない。時間外に働いたら割り振りを請求する。年休は目いっぱい消化する。
~実際には権利とは、契約など、市民相互の関係に基づいて請求するものであり、常に「争って勝ち取るもの」なのである。~
「争って」というと物騒だが、争わなくても権利なのだから速やかに行使すればいいのだ。
近しい者から、仕事に対する愚痴をよく聞かされる。「勤務時間内に仕事が終わらない」のだそうだ。私は「途中で投げ出して帰ればいいのに」と思う。勤務時間を超える業務を命令している管理職が間違っている。
~若者は法律を行使する前からあきらめてしまっている。それだけ日本で法律を使うにはハードルがあるのである。端的に言って法律などの制度は「使わないと損をするだけ」だ。~
私は「損をしたくない」と心底思う。自分の時間は有限だ。貴重だ。それを無償で提供する気はない。(R4.2/8記)