読書『労働法入門』 (水町 勇一郎)

労働法入門 (岩波新書) – 2011/9/22 水町 勇一郎 (著)

本書は働き方改革が叫ばれたころに新版が発刊されている。私が読んだのはもう10年前の本だ。

労働法とは何か、ということが記されている。

~人間としての自由や尊厳を失っていくという事態が工業化、都市化に伴いみられるようになった。労働者の肉体的、経済的な危険と人間としての自由の欠如を是正する技法として発明されたのが「集団」法としての労働法であった。~

我々労働者の自由や尊厳は、労働法によって守られているのだ。

~自由を奪われていた労働者に対し、集団として自由を行使することを認め、労使の事実上の力関係の差を是正しようとするものであった。~

 ~自分たちそれぞれの安心や社会の秩序を守るために、みんなが守るべきルールを定めることにした。このルールが「法」である。「労働法」はさしあたり働くことについてのルールを定めたもの(その寄せ集め)と考えておけばよい。~

みんなが守るべきルールとある。だが守るべきなのに、守られていない。例えば教員の勤務時間である。9割以上守られていないと言っていい。学校現場では、勤務時間が過ぎたら、教員は、管理職に命じられ働かされているのか、教員が進んで働いているのかがよく分からないのだ。

管理職は教員に「担任業務」を命じている。だが「担任業務」というのはとても幅がある表現だ。ほぼ授業を進めるだけでも成立するし、きちんと教材研究や授業準備をしたら勤務時間は遥かに超える。

みんなが守るべきなら、勤務時間を過ぎたら学校を退出するべきだけど、そうなるとは思えない。(R3.8.27記)