読書『 日本人の誇り』Ⅱ

かつての日本人はどうだったかという話題になる。

~「人々は貧しい。しかし幸せそうだ」「金持ちは高ぶらず、貧乏人は卑下しない。ほんものの平等精神、われわれはみな同じ人間だと心底から信じる心が、社会の隅々まで浸透しているのである」「礼節によって生活を楽しいものにするという普遍的な社会契約が存在する」~

江戸、明治の頃と比べ、現代の人々は貧しくてなおかつ不幸だろう。金持ちは自分の富を増やすことばかり考えていそうだ。

産業革命がおこり、文明が発達し、欧米列強が世界を支配するようになった。そんな先進国からの植民地化を免れようと、我が国もどんどん他国の文化や技術を取り入れるようになった。そして他国への進出や戦争を経て、高度経済成長に行き着き、豊かな国になった。わが国は豊かさと引き換えに、幸せ、平等精神、礼節を失ったのだ。

~日本は少なくとも江戸時代から明治中期にかけておそらく歴史上に日本以外の世界のどこにも存在しなかった、貧しいながら平等で幸せで美しい国を建設していたのです。~

貧しさというのがポイントではないか。貧しいがゆえに、物のありがたみがわかる。貧しいがゆえに、持ち得るものを最大限生かそうとする。貧しいがゆえに、助け合える。

「ぜいたくをしない」「質素」とは別だ。不足感、困窮感でなくてはならない。日本はそこまで立ち戻れるのか。