読書『 いじめ・自殺 この30年で何が変わり、何が変わらないのか』Ⅱ

「この国は」で始まる言葉から。

~この国は、自殺、自死に対しては一種、美意識のように捉えていく伝統がある。~

教科書に載るような立派な文学作品を残す大作家でさえ自殺している。今年も大女優、将来ある若手俳優が自殺した。コロナの影響か、自殺者が増えているというのも聞いたことがある。自殺ということに対し、ハードルが低い国かも知れない。

~この国は「気づき」の文化であり、多く言葉を発しなくても憶測と惻隠と推量を前提とする表現の文化としてあった。~

そうであったのかもしれないが、この国の教育は「憶測・惻隠・推量」とは正反対であったのは間違いない。国語でもディベート活動、「話す・聞く」項目の重視や「言語活動」が実施されてきた。国語の「読解」は隅に追いやられてきた。

~「気が利く」こと。今相手が何をしたいか、何をしてほしいか、何を求めているかを敏感に察知する能力があってはじめて自分の次の行動が見えてくる。「言ってくれればいいのに」と言っているうちは後塵を拝する。世の中でそれこそ社会化して成功した者は少なからず優れた読解と行動の表現者であると悟った。~

「言ってくれればいいのに」という言葉には冷たさが漂う。本当は気づいていたのに、言い訳のように使われるときもある。