読書『民主主義はいかにして劣化するか』Ⅳ

目的、手段というのは、その区別を見失いがちになる。

~経済成長は手段であって、目的ではないのです。大切なのは成長して何を獲得するかなのだと私は思います。成長して誰にもチャンスが与えられる社会を築けたら、もっと多くの人がそれぞれの人生を楽しむことができるようになります。~

~経済成長というのはみんなが幸せになるための有力な手段の一つではあります。だからと言って目的にしてしまってはなりません。目的にしてしまったら、これを阻害するおそれのあるものは排除しなければなくなるからです。それは決して人を幸せにすることには通じず、一握りの人間が全体の富を独占することにしかつながらないのです。~

経済成長は幸せになるための手段の(いくつかの中の)一つ。であるのに、何をおいても経済成長を求めている。「経済成長=幸せ」という図式を描いている。目的にしてしまい、それしか見えなくしているのだ。

~必ず起こるのが学校の問題です。外国人労働者よりも、その家族、特に子どもをどうするか。結局は地元の公立学校の先生の負担になるわけです。~

~企業は外国人労働者を入れることで大幅なコストダウンができるけれども、そのことに伴う負担は地域社会に押しつけられるわけです。~

全くその通り。もう何年も前から、日本語がわからない子にどのように授業をしたらいいのか、その親にどのように協力を求めるか、などなど問題は上がっていた。企業は非正規を増やしてコストダウン、外国人労働者を増やしてコストダウン。これは経済成長のために通らねばならない道なのだろうか。