読書『西田幾多郎』(佐伯啓思)


西田幾多郎 無私の思想と日本人 (新潮新書) – 2014/10/17佐伯啓思 (著)

なぜか英語教育への批判が出てくる。

~英語教育も実は成長戦略なのです。これほどあからさまに教育を経済戦略の中に位置づけたことも珍しいでしょう。~

初めは小学校高学年だけに申し訳程度に行っていた英語の時間がどんどん増やされ、今や、外国人講師がいなくても担任だけでも英語の授業を行わなくてはならないようになった。我々おなじみの教科書「NEW HORIZON」が小学生の英語教科書として配られることを知って愕然とした。我々現場はただただ振り回されるのみだ。

~「手段」であるはずの英語がそれ自体「目的」になってしまう。英語習得の成否が受験の順位付けや高校のランク付けになり、そのうち英語が自己目的化されるというほとんど最悪の事態へと陥るでしょう。~

~「コクサイカ」より前に、まずは日本語で自前の言葉で自己を表現し、他人と議論でき、家族や友人とまともな会話ができるようにすることが先決なのです。~

英語を中学年から始めるよりも、まずは何より自国語としての国語を身につけるべきだという意見は根強い。だが、英語教育はやめられない。財界からの要望なのだろう。だから、「まずは日本語を」という声を打ち消すために文科省が唱えたのが「言語活動の充実」なのだ。国語の教科書もずいぶん変わった。物語教材の読解に時間がかけられなくなり、わけのわからない隙間教材ばかりになった。

哲学的な内容は次回にしよう。