読書『無名の人生』Ⅳ

自分の人生の「主人」という言葉が出てきた。

~私もやはり自分の人生の主人でありたいと思う。そういうプライドをもつことが自分の人生を生きるということでしょう。~

自分は自分の人生を生きているだろうか。

~嫌な仕事であってもそのなかに何か納得できるもの、誇りうるものを探していく。そういう努力と工夫を続けるうちに、他人の指示にしたがって嫌々働くのでなく、自分が自分の仕事の主人になることができる。~

そんなつもりもないのだけれど、ついつい自分の色を出してしまう。なんとなく優先順位を違えてしまう。その結果、今日は大切な書類を配布し忘れてしまった。嫌々働いているわけではないけど、新人でもやらないようなミスをしている。これでは主人どころではない。

~「自己実現」というのは何のことはない、社会的地位や名声を得ること、つまり成功すること、出世することをそう言っているので、人々を虚しい自己顕示競争に駆り立てるだけです。「自分の人生の主人になる」というのは、これとは似て非なるものです。無名であっても平凡であっても、というより、むしろそうやって「有名になる」ことに囚われないほうが自分の人生の主人たりうるのです。~

心を打つ文面である。私が病んでしまったのは、これが原因だろう。私は成功したかったのだ。名声を得たかったのだ。それは下衆なので「自己表現」という言葉で覆い隠していたのだ。もう、競ったりしない。前にはでない。無名でいい。それが自分の人生の主人になれる条件だ。

本書の題名の意味がよくわかった。