読書『無名の人生』Ⅴ

自己実現に奔走していた自分を戒めてくれている。

~人間はみな大差のない存在であって、人に抜きんでる必要などありません。この世で一人一人の存在は、それ自体でおのずから肯定されているからです。だからといって努力を惜しんではいけません。自分に合った職分というものを自分で見つけ出し、その職分をまっとうするにも努力が必要です。そういう努力を積み重ねながら、平凡に、無名のままに過ごすのはつまらないことでも、虚しいことでもありません。~

職分とは、その職についている者がしなければならない仕事。私も肯定されている。だから周囲の人すべてを肯定しよう。この職分は自分に合ったものかどうかはわからないが、その職分をまっとうしたい。もう、有名か無名か、非凡か平凡か、という価値基準を持たない。

~苦しみや悲しみの耐え方は人によっていろいろあるでしょう。しかし大事なのは、どんな方法、どんな手を使ってでも、それに耐えることです。「それが生きる」ということだと思うのです。~

私は「休む」という手を使って耐えた、ということにしたい。その手を使わなければ、人生自体を終えていたかもしれない。「どんな手を使っても耐えろ」というのは「どんな手を使っても生き延びろ」ということだと解釈している。