読書『君たちはどう生きるか』Ⅴ

 

主人公は、大きな失敗をしてしまう。それをおじさん、お母さんが別の角度から励ます。

~なぜあの時、思った通りにしてしまわなかったんだろうって、残念な気持ちで思い返すことは大人になってもよくあるものなのよ。どんな人だって、みんなそんな思い出を、一つや二つもってるの。~

~おかあさんは、あの石段のことでは、損をしていないと思うの。後悔はしたけど、生きていくうえで、肝心なことを一つ覚えたんですもの。~

~そんなことがあっても、それは決して悪いことではないのよ。そのことだけを考えれば、そりゃあ取り返しがつかないけれど、そのおかげで肝心なことを心に浸みとおるように知れば、それはありがたいことですもの。それだけ人間としてかしこい人になるんですもの。だからどんなときにも絶望なんかしたりしてはだめね。~
おじさんが主人公を導く立場だとしたら、お母さんは背中から支える立場だ。知識や教養ではなく自分の経験から、失敗を教訓として生かすことを説いている。

おじさんからの言葉は、前回掲載した。ぴしゃりと叱るような、厳しい励ましだ。お母さんは温かく、じわりじわりと励ましている。自分も失敗だったのだ。だがそれはありがたいこと。私も励まされる。