読書『何のために働くのか』(寺島実郎)


何のために働くのか 自分を創る生き方 (文春新書 921)  – 2013/6/20 寺島 実郎 (著)

私は、少し前に、仕事をする気が全くなくなった。「適応障害」と診断され、しばらく休んだ。職場を変えて復帰しているが、もう、私は仕事に多くのことを求めない。「何のために」と問われたら、給料のためでしかない。

著者を「サンデーモーニング」でよく拝見する。「働く」ことについて著者の考えを知りたいと思った。

~教育における不変の基軸は親の背中である。つまり人間は人間によって育てられるのであり、まずは子供は親の生きる姿を見て成長するのである。親が必死に生きる姿を見て、子どもは道を外さない。~

我が子の言動を見て、良くも悪くも、「ああ、この子は我々の姿を見ていたんだな」と思うときがあった。そうしてほしくなくても、親である我々がそうしてきたのだ。そういう背中を見せてきたのだ。もう我が子の判断にまかせるしかない。我々はその判断を支えるしかない。

~自分が「いま、ここに、存在する」のは奇跡のようなことだからだ。どれほどの深い孤独を感じていても、人間は決してひとりぼっちではない。時を250年に限っても、自分という人間には2046人の先人たちの血が流れている。2046人の命と歴史をつないで今日の自分が生きているのである。~

「いま、ここ」というのは禅の思想だとどこかに書いてあった。2000人以上もの先人がいて、今の自分がある。自分はただの自分ではない。「その自分の命を存分に役立てよ、働くことで。」そう受け取ることにしよう。