読書『日本人が知らない幸福』Ⅳ

 

おもしろいな、と思うところがあった。

ーわたしは長兄に限らず他のきょうだいの子どもにも、月に一回くらいは電話を入れるように心がけている。たわいのない話をしながら、彼らの成長ぶりを観察するのが目的である。多分彼らにとっては迷惑な行為であり、大きなお世話だろうが、私としては世話好きのオジサンと付き合うことで、忍耐を覚えるのも社会勉強の一つであることを理解してほしいと思ってやっているのだ。ー

甥っ子に毎月電話するとは。しぶしぶ電話に出て対応する甥っ子が目に浮かぶようだ。ベトナムでは家族の結びつきというか概念が日本と全然違うのだろうな。家族、親類を世話する、気に掛ける度合いが違うのだろう。そんな著者に正直、憧れる。

ー人には分というものがある。華々しく輝いて仕事をこなす人もいれば、静かに自分の哲学を守って与えられた仕事を一生懸命する人もいる。それこそが社会の実情であり、バランスが取れた健全な世の中である。ー

なんと健全な意見なのだろう。わが国では誰もがいつの間にか競争社会にさらされ、あおられ、迫られ、みんながしのぎを削って生きている。それは、おかしいことなのだ。バランスのとれていないことなのだ。