映画『君がいる、いた、そんな時。』

君がいる、いた、そんな時。 (2019) 監督 迫田公介

プレッシャーのかかる大きな行事が終わり、開放的気分の一日。休みをとるならこの日しかない、というわけで1時間早く職場を去り、隣市のミニシアターに向かう。正規料金を払い、公開最終日の本作品を観る。

どこかハンディを抱えた登場人物が共感し合い、励まし合って生きていく。いつの時代だって弱者がいる。それが一発逆転にはならない。その場しのぎのなぐさめなどいらない。その時やはり救いになるのが、共通項を抱える者たち同士の絆なのだ。

舞台となった学校現場に携わる者として大きく考えさせられた。苛められていたハーフの彼の逃げ場、それが図書室だ。学校にだってそんな逃げ場が必要なのだ。

そして、一般的に我々教師は、いじめを撲滅しようとしてしまう。いじめられっ子を、健全な、明るい、「こちらの世界」に囲みこもうとする。それは正しいことなのだろうか。引き込もうとしてもどうせそれはただのその場しのぎだ。逆に、そうすることによって、DJの彼や、司書の彼女に共感する場や機会を失ってしまわないだろうか。

教師として、人間として、相対する者を理解したい。だが、ハーフの彼と本当にわかりあえるのは、同じ境遇の人間でなきゃだめだという絶望的な隔たりがあるのだ。でも、わかろうとする姿勢こそ大切なんだろう。

大きな感動があるわけではないが深く考えさせられる、それも映画の良さだ。だから名作とは呼べなくとも、とことん良作である。

司書の先生はとてもキレイです。有村架純の朝ドラに出ていましたね。