読書『自立が苦手な人へ』Ⅳ

 

著者が教育の意義について述べている。興味深い。

ー「生産」こそは人間が互いに奪い合う戦争状態に陥らずに済むために必要なことである。そして福沢はその生産性を高めるために学問をして個々の人間が自立することが必要だと説いたのだ。ー

ー曲がりなりにも戦争を回避できているのは、平和な環境下での個々の人間の努力や協力関係による「生産」が戦争による収奪以上の利益を供与してくれる可能性があるからだ。ー

戦争とは他国の財産の収奪である。だが自国が収奪以上の利益があれば、戦争は不要だ。利益は生産によって生じる。生産を高めるためには個々の人間が自立するための学問、教育が必要である。教育という営みは、個々の人間を自立させ、生産性を高め、平和にも繋がるということだ。

私が子どもと向き合うとき、「せめて自分の力で食べていけるように」とよく思うものだ。なぜそうなのか。自分の力で食べていけなければ、収奪、犯罪という方向へ行ってしまうからだ。

 

もう一つ気になる記述。

ーもっとも一般的な人間関係は、ギブアンドテイクの原則で動いている。一方的な施し、寄生関係であってはならない。感謝するだけでもいいから弱者と呼ばれる側も他者に何かを与える努力をしなければならない。子どもにまず挨拶や礼儀を教えるのはそのレッスンなのである。それは弱者と呼ばれる存在が、自立するための第一歩である。ー

「挨拶や礼儀を教えるのは自立の第一歩」が心に響く。私は挨拶を指導する面倒さから、それを回避していた。必要性はよくわかった。