映画『マーベラス(2021)』

マーベラス(2021)THE PROTEGE 監督 マーティン・キャンベル

家人は実家へ行ったので、今日もサイクリングを兼ねて映画祭りを行うことにした。昨晩の残りの餃子を弁当にして、いつものように自転車で隣市のミニシアターへ向かった。

本作は下調べもなく選んだが、なかなか見応えのある作品だ。アベンジャーズサミュエル・L・ジャクソン、バッドマンのマイケル・キートンが出るなんて、キャストも豪華だ。

注目ポイントは、派手なアクションだけではない。闘っている際中であっても、会話が粋なのだ。一流の殺し屋だということがよく伝わってくる。主役は若い高島礼子橋本愛と足して割ったような美貌を持ち、強くて美しい。

ただ一つ残念なのは、ラスボスがなぜ悪者なのかが今一つよくわからなかったところだ。それを差し引いても十分に楽しめる映画です。(R4.9/10記)

 

読書『男はなぜこんなに苦しいのか』(海原純子)

男はなぜこんなに苦しいのか (朝日新書)– 2017/5/1 海原純子(著)

私は男だが、男だから苦しいとはそんなに思ったことはない。女がうらやましいとも思ったことはない。著者は医学博士、心療内科医、産業医。回復力を身につけ、ストレスに強い自分になるための方法が書かれているとのこと。

~職場で生じた怒りや不満を黙って抑え込んでいることでストレスが生まれる。これを表現することが不可欠である。表現するというのは何らかの形で自分の心の中の感情を外に出していくことですから、その気持ちを書いてみる。書いてから後でもう一度読んでみる。そうしたプロセスで自分の気持ちを客観的に点検することもできます。~

前の職場では、後半、怒りや不満ばかりだったな。うまくいかずにストレスをため、努力が足りないと思いがんばり、それでもうまくいかずにさらにストレスをためる。いい年なので、愚痴や弱音などで表現することもできない。

~ストレスに陥った人に必要なのはまず気持ちを表現することと、仕事内容の理解ではなく、気持ちへの理解、想像、共感である。これを実感できるとストレスに対しての回復力がアップする。~

「客観的」という言葉があったが、ストレスが溜まったとき、その自分を客観できるかどうかが重要なのだ。怒りが生じたとき、心の中で「今、私は怒っているんですね」と自分に言い聞かせることで、怒りを抑えられる、という文章を読んだ気がする。

~「これで命を取られるわけでもないですからね。やれることはやったから、あとは手放してみよう」と時々思えるようになりました。~ 

努力したのだから失敗するはずがない、と思っていた。が、生きている限り、失敗だって不幸だって不運だってあるのだ。それでも命は取られない、きっと。だから、「やれることはやった」と思えるかどうかだ。(R4.9/9記)

映画『異動辞令は音楽隊!(2022)』

異動辞令は音楽隊!(2022)  監督 内田英治

5時間授業の日は子どもが早く帰る。会議もなさそうだったので自分も1時間年休を取って映画を観ることにした。お目当ての映画は15時30分から。家に帰って自転車を置き、ジョギングで市内のシネマに行く。ところが、その時間には私が観るつもりのない映画が始まっていた。明らかに私のミスだ。そのままジョギングで帰り、孫を連れてきた次女を接待。味噌汁とおかずを作り、二番手の本作を観に、再びシネマに訪れた。

この作品、なかなか上質な味わいです。強い感動はないけど、楽しく、おもしろく、なおかつ胸に迫るものがあるいい映画だと思います。

阿部寛の演技は盤石です。一人の警察官の成長物語ともいえるでしょう。自分の気に入らないポジションでくすぶっていてはいけないと思いました。主人公の成長とともに、仲間の素晴らしさ、音楽の素晴らしさもじゅうぶんに伝わってきます。

そして彼らは警察官。犯罪を解決していくという重大事もストーリーの中にしっかり組み込まれて、満足のいく仕上がりです。

「セッション」という言葉が一番耳に残りました。どんな場においても、誰かとのセッションなのでしょう。生き方に通ずることなのだと感じました。評価値以上の良作です。(R4.9/8記)

 

読書6-19『広く弱くつながって生きる』Ⅵ

今回で終わりにしたい。

~人生も同じです。通過点をゴールだと思い過ぎたり、あらぬゴールを仮定して期待感を高めるから、かえって失望感や徒労感も大きくなります。峠を越える繰り返しに過ぎないと認識し、今歩いていることを楽しんだ方がよほど毎日が充実すると思います。~

「人生山あり谷あり」「禍福は糾える縄の如し」とは、峠を越える繰り返しと同じ意味だ。ゴールがあっても一過性のものであり、またスタートせねばならない。本当のゴールは人生の終末だということだ。峠も谷もそこを歩くことを楽しむ余裕があればいいのだが。

~結局、誰か、何かとの比較に基づいて高みを追求しても無意味なのです。頂点に立とうと必死になるよりも、足るを知ることの方がよほど大切ではないでしょうか。~

峠とは何か。高みとは何か。頂点とは何か。本当はそんなものはないのかもしれない。

~さまざまな年代の人たちと広く弱くつながり、困難があっても「きっと誰かが少しだけでも助けてくれる」という安心感をもつことができれば、人生はそんなに悪くない。そういう心持ちで、これからの長い人生を生きていけばいいんじゃないかと思います。

つながりができると、どうしても「深さ」「強さ」を求めてしまいがちだ。一時期「絆」なんて言葉ももてはやされた。「きっと助けてくれる」ことを期待しつつ、「助けよう」という心持ちでもいたい。(R4.9/5記)

映画『この子は邪悪(2022)』

この子は邪悪(2022)監督 片岡翔

日曜午前、ぽっかりと穴が開いたように時間ができた。映画観れるかなと市内の劇場の上映時間を調べると、今すぐ行けばなんとか間に合いそうな作品が一つ。この作品のレビューも、評価も知らない。調べている時間もない。ナップにアクエリアスを詰め込んでジョギングで家を出た。今までたまったポイントを使い無料鑑賞、着席と同時に本編が始まった。

帰宅して評価を調べると全然高くなかったが、それ以上に面白い作品です。レビューの内容も厳しいが私は十分楽しめました。表題から主人公のヒロインがブラックで支離滅裂ハチャメチャなことをするのかなと想像していたがそういう展開ではなかった。

全編通して不気味さが漂う物語だ。恐ろしい人が出てくる、出てくる。ヒロインの家族もまるで『死神家の一族』さながらである。でも、あり得ないことはない、というところが恐怖感を一層高めている。父親役に「いい人キャラ」玉木宏を起用することで、反転の面白さはあるのだが、最後は不気味さに欠けてしまったかな。ヒロインの南は透明感ならぬにごりのある存在感を示し、これからの作品も気になる。

家族を愛し、大切にするという普遍的な思いと、児童虐待という現実を対比させて、上質なサスペンスホラーに仕上げている。ちなみに表題の意味は最後の最後でわかります。(R4.9/4記)

 

 

映画『てぃだ いつか太陽の下を歩きたい(2022)』

てぃだ いつか太陽の下を歩きたい(2022) 監督 中前勇児

休憩中におやつのポップコーンを炭酸で流し込み、3本目の鑑賞。なんとミニシアターには珍しく、公開したての作品上映である。よってまだレビュー投稿もされていない。もう片方でほぼ同時に上映されていた作品の方に多くの客が入っていって、変な方を選んじゃったかなと、ちと不安になった。

主演の馬場ふみかは『バイオレンスアクション』以来の再会である。そして巨乳アイドル中村静香が出るということで、こちらを選択したのだ。

石垣島の魅力満載の映画だ。私は、観光地というと北海道ばかりに気持ちが行っているが、沖縄も、志垣島も素敵な観光地なのだと再認識させられた。しかし、その魅力に魅かれて長く滞在してしまうと、観たくないもの、出会いたくないことに遭遇させられるのだ。

逃げてばかりではいけない、前に進まねばならないという主題はよく伝わったが、伊藤かずえがあまり病人らしくなくて違和感。もっとやつれた方がいいと思ったよ。帰りはまた自転車で帰宅。雨が降らないでよかったです。(R4.9/3記)

映画『神々の山嶺(2021)』

神々の山嶺(2021)LE SOMMET DES DIEUX/THE SUMMIT OF THE GODS 監督 パトリック・インバート

休憩中にスナックサンド2袋を食べて、缶コーヒーを飲んで、2本目の鑑賞。本作は原作小説、漫画化が日本、フランスで映画化という珍しいプロフィールであり、気になって鑑賞を決定。そこそこな髙評価なのも後押しされた。

これもまた見ごたえのある良い作品だった。何よりも映像がいい。山々の美しさだけでなく、アニメなのに、いやアニメだからこその迫力のあるアングル、臨場感のある映像が観られる。登山シーンでは、まさにそこにいるかのように、絶壁を登っていくスリルと緊張感を味わうことができる。

本作も生きることについて触れている。「理由などない、山に登ることで自分は生かされている」という登山家の言葉だ。生きる意味を問うたら、生きることが主体となる。が、そうではない。そもそも意思もなく生まれた身だ。生かされているのだ。生きる意味を悩んでも仕方ない。そんなことに頭を巡らせた。ところで、私は、どうすることで生かされているのだろう。(R4.9/3記)