読書9-2『新しい幸福論』14

余暇、休養、趣味…働くこと以外に意義を見出せ

~長時間働く必要はない。むしろ長時間働かずに労働は短時間に抑制して、長くなった余暇時間で人間性の高い生活を送った方が好ましいのである。~

それは正論だと思う。長時間働きたくて働いている人の方が少ないのではないか。多くの人は定時で、それが無理でも少しでも早く仕事を終えたい、解放されたいと思っているのではないか。だが、自分の責任範囲があまりにも多くて、上司に仕事をふられて、人手不足の影響で負担が増えて、などの理由で長時間労働を強いられているのだと思う。

~労働時間の短縮が達成されると、まず労働第一、生産第一の社会から逸脱できるので好ましい。そして長くなった余暇時間をうまく使えば、創造性や美意識が高まるし、「遊びの文化」も高まるので「文化社会」という望ましい社会に移行できる。~

そして政府も、経済政策を優先して、失われたウン十年を取り戻そうとしている。さらに、我が国には勤勉を尊いことだとする文化がある。「ノー残業デー」を設定することくらいが関の山だな。

~長期間にわたって日本人が最も充実感を感じているのは家族団らんの時だということである。仕事に打ち込んでいる時が、ごく最近においては、休養、友人、知人、趣味などより低い充実感しかないことにある。仕事から得られる充実感は低下してきたのである。~

この言葉もピンと来ない。「仕事よりも家族」という価値観はそうそう一朝一夕に高まるものではない。「男は仕事、女は家庭」という価値観で、高度経済成長を経て先進国にのし上がることができた。そんな家庭で育った子どもが、親になった時、どんな家庭を作りたいと思うか、だな。そして、ここにきて、非婚化、少子化、個別化の影響で、「家族」というもの自体が少なくなってきていることが気になる。(R6.1/4記)