「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす (光文社新書) – 2017/11/16 佐光紀子 (著)
同僚が二人も休暇を取ったので、そのサポートをしなくてはならず、不規則で慌ただしい一日だった。そして体育的行事の練習も始まったことも拍車をかけていた。とにかく終わればいい。やっと週末がやってくる。
筆者は私より4つ年上。「翻訳家として他国の友人も多く、家事や掃除術の専門家でもある著者が、多くの聞き取りや国際比較などを参照しながら、気楽で苦しくない家事とのつきあい方を提案する」とある。
私の家庭も共働きなので、結婚当初は家事の分担で家人ともめたこともあった。だが、私もできるだけ家事に協力するようにした。そして今となっては主夫と言われても遜色ない働きをしている。
~24時間のうち、他国の人々に比べると2時間半以上長く働いていることになる。そりゃあ家事をする時間がなくても仕方ないよねという論理だ。~
我が国の長時間労働の問題である。家事に協力しようにも、家に帰れないのである。ちなみに我が国の労働生産性はとても低い。OECD加盟国中27位とかの低さである。だが労働生産性を上げようという気風はない。なぜなら、働くことそれ自体に価値を置いているからだ。働くことが手段でなく、目的となっているからだ。
~夫は夫で残業で忙しい。その一方で妻は妻で家事をして夫の稼ぎを支えるのが自分の役割だと思っているという現実が世界一家事をしない夫を作り出している社会の根底にある。~
世界一家事をしない夫、その負担を一身に背負う妻。家事に負担がかかるということは、子育てにも負担がかかる。子どもを持とうという機運もなくなる。ということは、「日本を滅ぼす」はあながち大げさでもない。(R5.10/13記)