読書8-13『日本人に生まれて、まあよかった』 (平川 祐弘)

日本人に生まれて、まあよかった (新潮新書)  – 2014/5/16 平川 祐弘 (著)

2019年9月16日~19日にかけて7p視写

筆者は東京大学名誉教授、比較文化史家である。「出版社からのコメント」には、「自虐よ、さらば」「自己卑下的な思考からの脱却」という言葉が目に付く。日本人としての誇り、愛国心を煽りたいのだろうが、題名はどこか消極的である。

~東アジア諸国の中で日本のように言論の自由が認められている国に生を享けたことは例外的な幸福である。~

確かに中国などは著しい言論統制が行われていそうだ。我が国が言論の自由が認められているのは、太平洋戦争に負け、一時的にもアメリカの統治下に入ったことが影響していると思う。また、日本人は勝手に空気を読む国民だから、言論統制しなくても困らないのかもしれない。

~日本では自己卑下が美徳となっています。日本の常識は世界の非常識と言われるくらいです。自己卑下を装う日本市民は一見謙虚で国内的には結構なようですが、しかし世界公民としては困った根無し草なのかもしれません。~

日本人の自己卑下しやすい性格は、世界の舞台では何の役にも立たないということだろう。

~次の改正憲法の前文は「和を以て貴しとなす」の語で始めるのがよい。日本は和を尊ぶ国です。「和諧社会」こそが我が国の古代からの理想であることを内外に宣言したい。~

和を尊ぶこと自体は反対ではない。しかし、それと前出の「自己卑下が美徳」とはつながっている気がしてならない。和を重んじるから自分を卑下せざるをえないのではないだろうか。(R5.9/25記)