読書8-7『ルポ 過労社会』Ⅶ

前回、職場の御用組合について書いた。

~経営者の方しか向いていない労組なんていらない。~

私は、そうは言いきれないところがある。いくら御用組合でも、存在するだけでも意味があると思っている。使用者の方しか向かない御用組合でも、100%近い組織率を誇る団体を簡単に無視できないだろう。私がかつて御用組合の分会長をしていた時、会合で、幹部が「都市部では組織率が下がり、使用者にやりたい放題にされている」言ったことを覚えている。

憲法は労働者が団結し、会社と団体交渉したり、行動(争議)したりする権利を保障している。~

わが組合は規模は小さいがこの権利を十分行使している。

~企業内労組は、企業ごとに正社員で構成される労働組合だ。終身雇用、年功序列と並んで戦後の日本型経営の「三種の神器」と呼ばれた。労使協調路線の下、企業は利益を伸ばし、企業内労組は賃上げという成果を勝ち取れた。労使が運命共同体として利益を追求する企業内労組の存在が高度経済成長を支えてきた。~

御用組合は、この企業内労組と同じだ。たしかに賃上げしか要求しない。温厚路線である。グローバル化で終身雇用や年功序列が見直されているこの時、企業内労組の存在も見直すべきだと言える。

~一人のために労働者が連帯すれば職場は変わる。働きすぎやメンタルなど個人の受難に寄り添うことが労組の復権につながる。~

団結、連帯という言葉は、もう死語に近い。だが「一人のために」という感覚が大切だと思うし、共感を覚える。(R5.7/23記)