読書『日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか? 』Ⅶ

なぜ、違法がまかり通るのか。最後にしたい。

~職務の不在と強力な人事権の行使は、長期雇用と年功賃金に対する使用者の「見返り」であった。ところが、企業別組合が主流となることで、労働市場における規制力がなくなる。また、労働者の仕事に対する自主性、自立性が根本から否定される。こうなると、個々の労働者は徹底的に会社に従属するしかなくなる。その結果、雇われるための競争、働く中での労働者間の競争は全人格的なものとなり、無限のものとなる。~

私が御用組合をやめて今の組合に入ったのは、人事の希望を通すためだ。強力な人事権の行使させないためだ。私は、使用者に人事権を行使されるのがいやだったのだ。自分を交換可能な部品のように扱ってほしくなかったのだ。今思えば、それが私の仕事に対する自主性、自律性だったのだ。冒頭の問いに対する答えは、「組合が本来の機能を果たしていない」ということになる。

~労働法が実質的な威力を発揮するには、当事者自身が契約関係において実際に対等になり、交渉できる組織が必要なのである。それが労働組合である。~

企業別組合御用組合に入っている者は、問題意識もなく、「組合とはこういうものだ」と思っている。使用者と対等になれる、なんて夢にも思ってないだろう。(R4.2/17記)