読書『ぼくらの民主主義なんだぜ 』(高橋源一郎)

ぼくらの民主主義なんだぜ (朝日新書)  – 2015/5/13 高橋源一郎  (著)

本書は、著者の前人未到の傑作とあった。ひとまず民主主義とは、「人民が権力を所有し、その権力を人民みずから行使する政治形態」と出てきた。誰しもが権力を所有しており、それを存分に行使できるのである。

~「労働運動って何ですか?」「みんなで上を向くことかな」~

もし自分がそう聞かれたら、労働者の権利を守るための運動と答えるかな。

~木下武男は原発事故の原因の一つが労働組合だと書いた。「労使癒着」によって「チェック機能の完全喪失」が生じたのである。~

これは耳の痛い話だ。労働組合にはチェック機能の役割もある。使用者の行動や判断に誤りがあれば組合が団結して是正していかなければならない。だが、自分自身は、労働者の権利を守ること、権利を行使することばかりに気を取られて、チェック機能の役割を後回しにしている。

~1950年代に起きた民間大企業の争議で、産業別労働運動側は敗れた。その結果、「労働者」は企業ごとに横に分断され、つぎはこの閉ざされた空間の中に縦へ上昇する競争システムが組み込まれることになった。「労働者」はカイシャインになったのである。~

教員も分断されていると言えよう。新任の先生も、採用初日に御用組合に入らされる。それは〇〇分会というように分断されて横の連携もなく組織力を持たない。我々のような弱小産業別組合は異端児扱いされる。組合から縁が遠くなれば、教員としての自覚は高まるだろうが、「労働者」という自覚は薄れて当然だ。(R4.7/4記)