読書7‐20『いつまでも若いと思うなよ』(橋本治)

いつまでも若いと思うなよ(新潮新書) 橋本 治 (著)  

コメントには、「若さにしがみつき、老いはいつも他人事。どうして日本人は年を取るのが下手になったのだろうか」とあったが、日本人が若さにしがみつくのはその通りだ。CMでは、しわを目立たなくするとか、抜け毛を予防するとか、そんな商品ばかりが宣伝される。まるで、老いを素直に受け入れてはいけないと言われているようだ。本書は「老い」に馴れるためのヒントを伝授するらしい。だが、正直言って、そのへんのところは読み取れなかった。

~昔の年寄りが年寄りであることを簡単に認められたのは、「若い」ということに対して価値がなかったから。若いということに価値があるのは女だけで、男の「若い」は「稚い」で「稚拙」で「青い」だから、たいして価値がない。~

「稚い」は「いとけない」と読む。年齢が若く、無邪気でかわいいという意味らしい。勉強になるなあ。自分はもう十分年寄りだけど、稚いことをしていないか。一抹の不安がある。

~「背広を着る」ということは自動的に「若さとおさらばしてオッサンになる決断をする」ということだった。背広はただの服ではなくて、社会が用意する「男をオッサンにする装置」だったのだ。~

数年前まで、私は毎日、仕事にスーツを着ていった。仕事だから身なりをきちんとしたい、という思いだった。休職した後、新しい職場では、特別支援の担当となった。それ以来、ずっと毎日、ジャージである。体が資本で、毎日ラジオ体操をしなくてはならないからでもある。決してオッサンがいやだというわけではない。休職前の方が、自分の年齢を意識していたのかもしれない。「ベテランとして振舞おう」「年齢にふさわしい行動をしよう」とか。(R5.4/19記)