読書7-16『明日のリーダーのために』(葛西敬之)

明日のリーダーのために (文春新書)  – 2010/4/20葛西 敬之 (著)

国鉄民営化を成し遂げ、リニア事業に挑戦するJR東海葛西敬之会長によるリーダー論」とあった。大きく社会を変革した人物であることには間違いない。その人の自叙伝である。

~「学問が楽しくなるような教育をするべきだ」という意見の人がいますが、それは学問をしたことのない人の言葉としか思えません。~

いきなり大きく頷きたくなる言葉だ。よく管理職など指導的立場の者が「楽しい授業を」と言うが、そんなの無理と思ってしまう。「自分はどれだけやってたの」と言い返したくなる。小中学生が楽しいなんていう勉強は、勉強ではない気がする。努力して、考え抜いて、得られるものこそ勉強なのだと思う。「わかる授業」なら、なんとかできる。が、「楽しい授業」はできない。

~生きる力は学校教育だけではなく様々な体験の結果として形成されるものであり、それをすべて学校教育でやろうなどというのは、身の程知らずとしか言いようがありません。~

「生きる力」とは、文科省の発した意味不明キーワードの最たるものだろう。そのあたりから、やたらたくさんのことを教員に、学校に、要求するようになったのだ。「生きる力を身につけるとはどういうことか。放っておいても、生きていくはずだろう。何もするなということか。そういう言葉が出るあたり、学校が社会的役割を終えているという証なのだ。(R5.3/6記)