映画『はい、泳げません(2022)』

はい、泳げません(2022) 監督 渡辺謙作

まったくのオフの土曜日。3が付く日は隣市ミニシアターのサービスデーである。「映画祭り」と決め込んで3本観ることにした。自転車で、途中ドラッグストアで昼食を買って、約45分かけてミニシアターにたどり着いた。

本作はそんなに評価が高くないので期待しなかった。2時間ドラマっぽいチャラけた作品なのかと思ったらそうではなかった。とてもいい作品だと思う。

チャラけていたのは出だしだけだ。主人公がなぜ泳げないのか、というより、なぜ泳げるようになりたいのかがよく分かった。そんな主人公の過去、人間関係などの背景が明かされることで、心情に引き込まれていく。

コーチ役の綾瀬はさすがである。主人公よりずっと若いのに、コーチとして生き方も教えてくれる。彼女もトラウマを抱えながらも真剣に生きているからこそだと思う。ある人物が主人公に生きる意味を問うが、彼女が「生きるのではなくて、生きちゃっている」みたいなことを言ったのも心に残った。心底、観てよかったと思った。

付言だが、主人公とコーチが「いい仲」にならないのかなと期待したが、下衆の勘繰りだった。綾瀬はるかは、ある意味、神格化されているのだ。彼女の恋愛モノなんてあり得ないのではないか。(R4.9/3記)