映画『冬薔薇(ふゆそうび)(2022)』

冬薔薇(ふゆそうび)(2022)監督 阪本順治

もうすでに雨が降り始めていたのだが、ルーティンの自転車で隣市のミニシアターに向かった。長女から譲り受けた合羽を着て。弱い雨と高を括っていたが、途中から本降りに。合羽を着ても体が濡れるほどの雨だったが、気持ちはかえってすがすがしい。きっと雨に打たれるというのは浄化作用があるのかも、などと考えていた。そしてなんとかチャイムと同時に着席。ちなみに今日はサービスデーで1100円。

過去、ときめいていた伊藤健太郎主演である。しかしマイナー映画なのに、わきを固めるキャストがいい。小林、伊武、石橋、余と名優ぞろいである。色調の暗い作品なのだが、彼らの余裕のある演技が、彩のあるアクセントを残していた。

後から調べたら、あの『半世界』の監督なのだ。どうりで暗い、夢がない、現実を突きつける作品なわけだ。主役も、それにからむやつらも、若い連中は、途方もなく最低なやつばかりだ。それと対比するベテラン俳優陣。やんちゃして、苦労して、それでも年月を重ねて生きながらえれば、余裕も出てくるものだ、というメッセージを勝手に受け取った。帰りも合羽着て自転車。いい運動ができてよかった。(R4.7/3)