映画『余命10年(2021)』

余命10年(2021)  監督 藤井道人

気絶するほど忙しかった週明け。自分にとって意味のない会議が始まったので、1時間年休を取得して帰宅、市内の劇場へ向かった。本作は封切から一月経つのに一日に3本も上映されている、結構息の長い作品だ。評価は高くないが、評判はいいのだろう。

実際に観てみて納得。とても美しい仕上がりの映画である。まず、キャストがいい。テレビドラマでお馴染みの俳優がたくさん出るのだが、どの役もピッタリ。個性を抑え、自然な演技というのだろう。要するに役者ぞろいなのだ。

そして主演の小松菜奈。余命を突き付けられるも悩み、迷い、悲しみ、葛藤している女性を見事に演じている。今、一番輝いている女優なんじゃないかな。死と隣り合わせの彼女に、私もずっと共感していた。

こんなに年老いている自分でさえ、余命を宣告されたら、どれほど取り乱すことか。また不治の病にかかった娘から「もっと生きたい」と言われたら親はどう返すべきだろう。生きている我々に、死という問題は切り離せない。とにかく、今のこの一瞬を大切にするしかないのだ。今日も明日も忙しいけど、観てよかった。素晴らしい映画です。(R4.4/1記)