読書『不幸な国の幸福論』Ⅶ

不幸、幸福といった話題になると、よく出てくるのがこの人だ。『夜と霧』の作者である。

フランクルは懸命に語りかけます。人生はあなたに何かを期待している。生きていれば、未来に、あなたを待っている何かが必ずある、と。~

~人間が生きることには、常に、どんな状況にも意味がある。だから人生に期待するのをやめて、人生から自分が何を期待されているかを考えよう。この苦しみにも意味がある。この苦しみを通して、人生は自分に何を期待しているのだろう。~

我々は、自分の人生に幸福、不幸がないことを期待してしまう。そうではなく、人生に何を期待されているか、ということだ。だが、そもそも、人生が期待できるのだろうか、この発想の転換は本当に難しい。「人生」と「自分」を切り離して考えられないのだ。

もっと裕福になりたい。みなから尊敬を集めたい。そんな期待はまずやめる。そんな欲望はまず捨てる。自分をまず無にしてみる。

~求め期待する生き方から、かけがえのない人間存在一人ひとりに期待されている「果たすべき何か」を自覚して生きる自分へ。自分が回ることで、自分という宇宙を動かし、人生を作っていく。それもまた幸せに生きる鍵の一つ。

「人生から」というのは難しいので、自分の欲や期待を無にした状態で、自分が求められていることを考えてみる。家族の一員であること。嫁や娘、孫たちにしてやれることが(山ほど)あるな。職場の一員であること。担任として教え子たちにしてやれることがあるし、もっともっと工夫ができるな。そして社会の一員であること。もっと貢献できることがありそうだ。自分の使命、役割というものがある。それを果たしていくことが、幸せに生きる鍵だ。自分の欲望や期待を満たすことが幸せではないのだ。