読書『 老いを照らす』(瀬戸内寂聴)

老いを照らす (朝日新書 89)  – 2008/1/11 瀬戸内 寂聴 (著)

著者は1922年生まれの小説家。発刊時点で86歳。今では99歳⁉「老い」について十分書く資格がある。

~死なない秘訣は、死んでもいいと思いなさいということ。その代わり、今日したいことは今日しなさい。いつ死んでも悔いのないように充実した生を送っていると死は遠ざかります。~

私も、心のどこかで、いつ死んでもおかしくないという気持ちを忍ばせている。私が時間外勤務をしないのはそこだ。今日が最後かもしれないなら、自分の時間は自分のために有効に使いたい。

~「過去を追うな、未来を願うな。過去は過ぎ去ったものであり、未来はまだ到っていない。今なすべきことを努力してなせ。」今を全力で生きる。これが大事だ。~

~そもそも命というものが自分のものではない。この世に自分の意志で生まれたわけではないのに、なぜだか自分の生というものを自分のものと思いなしています。これが間違いの始まりです。~

最近、これと近い心境になった。私も教師という仕事をしていると、「これだけがんばっているのに」「こんなに長く指導を続けてきたのに」という思いにかられることがある。自分の感情を優先し囚われてしまっているのだ。

だが使用者、管理者からすれば、私個人の感情など関係ないのだ。私の労働の対価として賃金を払っているだけなのだ。自分の感情の起伏に支配されて、自分のパフォーマンスが発揮できないということがあってはならない。教える子どもがどうであろうと、その時々の全力を果たさなければならない。ふさぎ込んでいる暇はないのだ。

働いている限り、自分の心は自分のものではない。働いている間は、自分の感情を押し殺して仕事に専念しなくてはならない。まさに、今を全力で働く。

著者はもっともっと切り込んでいる。命そのものから自分のものではないと。もっと私も大きく考えなといけない。