読書『 「できる人」という幻想 』(常見陽平)

「できる人」という幻想 4つの強迫観念を乗り越える (NHK出版新書)  – 2014/4/9 常見 陽平 (著)

4つの強迫観念とは「即戦力、グローバル人材、コミュ力、起業」のことだ。

新入社員に即戦力を求めるのか。

ちなみに、教員の世界では、特に小学校では、新任も(いや新任の講師でも)学級担任を任されることになる。まさに即戦力の世界である。基本的に50代の教員と同じ仕事である。

~日本の企業は本来は上の世代が果たすべきことを、若者に転嫁してきたのではないだろうか。~

~入社式が「できる人」という幻想を押しつける儀式になっていないだろうか。~

~変化や危機感を煽っていた方が、労働者が経営者の言うことを聞いてくれるのではないかという下心まで感じてしまう。~

2000年代、私が田舎から市街地の小学校に転任した時のことである。そこでは管理職や上司がやたら危機感を煽る発言をしていた。「教員は一般常識がない」「そんなことでは世の中では通用しない」「それでは保護者や地域に理解されない」など。私は内心、「同じ教員じゃないか、どれだけ世間を知っているんだ」と思いながら聞いていた。当然、その職場の雰囲気はよくなかった。

~求める人物像を高度化したところで、実際はそんな人材はおらず、妥協して採用してるのではないだろうか。「即戦力」が採れているかどうか疑問が残る。そもそも「即戦力」という言葉自体がおかしいのだ。~

日本の大学では仕事に生かせるようなスキルを身につけることはできない。単位取得、アルバイト、サークル、就職活動に明け暮れ、就職してから仕事を教えられるものだ。それを「即戦力」などと求められたらたまったものではない。