天外者(てんがらもん) (2020) 監督 田中光敏
隣市の複合型シアターで観賞。上映開始ギリギリに到着、窓口に並ぶが、前のお客さんがポイントやら会員証やらで時間をかけていて、結局間に合わなかった。今時、この規模で窓口対応しかしないなんて珍しいよね。だが、本日は会員デーのために、1100円で鑑賞できた。
五代の周辺人物とのからみ、幕末から近代への移り変わりがとても速足で語られ、五代自身のエピソードは薄まってしまったように思う。
五代が日本を変えようとする思いを支えるのは、「自由がない」「夢ぐらい見させてほしい」という人々の存在だ。しかし、当時の人々は本当にそう思っていたのだろうか。我々後の世に生きる者からすれば、そう見えるに違いないのだが、私はそれをすんなりと認められないのだ。しかも、前日に『ひとくず』を観たところであり、どんな時代でも、それぞれの人に不条理も不幸もあるはずなのだ。
どうしても、五代と、その演者がいなくなったことを重ね合わせてしまう。
五代が近代日本の礎を作ったのだろう。彼の死後、たくさんの人々がその功績を称えたことが分かるシーンがある。五代を演じた三浦春馬はもういない。彼の功績を称えるためにたくさんの人が劇場に集まっている。この映画は、彼とのお別れ会なのだ。