読書『 資本主義の終焉と歴史の危機』Ⅶ

資本主義の次なるシステムは筆者にも見えていない。だが…。

~資本主義にできる限りブレーキを掛けて延命させることで、ポスト近代に備える準備を整える時間を確保することができる。~

筆者は「定常状態」について述べている。

~「定常状態」とはゼロ成長社会と同義です。ゼロ成長というのは純投資がないということになります。純投資がないわけですから、減価償却の範囲内だけの投資しか起きません。家計でいうならば、自動車一台の状態から増やさずに、乗りつぶした時点で買い替えるということです。~

私は経済に弱いので読み切れないのだが、物品も含め自分の財産をやみくもに増やそうとするのではなく使い切れということか。贅沢をするなということか。ただ、この「定常状態」、ゼロ成長維持ですら困難な時代だそうだ。その理由の一つに、無産階級の増加で格差拡大が起きている。

~格差拡大の処方箋としてはまず生活保護受給者は働く場所がないわけですから、労働時間の規制を強化して、ワークシェアリングの方向に舵を切らなければなりません。~

~過剰労働、超過勤務をなくすように規制を強化すれば、単純にその減少分だけでも相当数の雇用が確保されるはずです。~

~結局、労働規制の緩和は資本家の利益のための規制緩和にすぎないのです。労働規制を強化して原則的に正社員としての雇用を義務付けるべきです。~

確かに働いても働いても生活が豊かになったという実感がない。労働者が享受すべき利益は資本家に吸い取られているからかもしれない。非正規がこんなに多い、立場が不安定な人々がこんなに増えているのは異常だ。