映画『はちどり』

はちどり (2018) HOUSE OF HUMMINGBIRD 監督 キム・ボラ

ここのところ、組合の仕事が忙しくてストレスがたまっていた。その仕事も一段落したので、いてもたってもいられず、2時間早く職場を去る。そして、隣市のミニシアターに向かう。正規の料金で入り、缶コーヒーとポップコーンを抱え、劇場へ。

本作は某サイトではわりと評価が高く、あの『パラサイト』の韓国映画でもあり、期待して臨んだ。しかし、期待を大きく上回るものではなかった。異色な、というか捉えどころのない、それでも印象的な映画だと思う。

韓国は日本と似ているな。というかどこの国でも似たようなものなのか。ストーリーはほぼ日常のそれだ。だが、それだけに観客は登場人物に自分自身を重ねてしまう。「私も家族とけんかしてしまったことがあったな」「自分も万引きして、親に心配かけただろうな」などと、つい自分の経験を想起してしまう。そうさせてくれる、それも映画の良さだと思う。

主人公の担任は「教員」だ。漢文塾の先生は「教師」だ。ただ高学歴を持たせるために檄をとばす担任。主人公に寄り添い、認め、学びに導く漢文塾の先生。現実に向き合い始める多感な中学生を導くには、親でも友人でもない、恋人でもない、「教師」こそ必要なのだ。

主人公に一つの答えを与えてくれる映画ではない。生き方は自分で見つけていけ、というメッセージだと感じた。