読書『 ゾウの時間 ネズミの時間』Ⅲ

自分は都会人だろうか。どちらかというと、そうなのだろう。自分が日ごろ接している自然は人工的な自然だ。生き生きとした自然ではない。

~生き生きとした自然に接していないと、人間はどうもすぐに頭の中を見つめはじめ、そして抽象的になっていくもののようだ。抽象的になりはじめると、とめどなく思考のサイズは大きくなり、頭でっかちになっていく。都会人のやっていることは、はたしてヒト本来のサイズに見合ったものだろうか?体のサイズは昔とそう変わらないのに、思考のサイズばかり急激に大きくなっていく。それが今の都会人ではないだろうか。体を置き去りにして、頭だけどんどん先に進んでしまったことが現在の人類の不幸の最大の原因だと思っている。~

生き生きとした自然に接するということは、人間が動物である、という感覚を取り戻すということだろう。人間は本来動物なのに、「動物ではなく人間なのだ」というプライドを持たされている。せめて休日くらいは、生き生きとした自然にどっぷり浸かってみてのいいのではないだろうか。