読書『ブラック企業』(今野 晴貴)


ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)– 2012/11/19 今野 晴貴 (著)

日本を食いつぶす妖怪か。恐ろしい表現だが、自分の職場もブラック企業と呼んでいいと思う。なにせ、残業代が出ないのに、時間外労働を許容しているのだから。

~非正規雇用という貧困状態への恐怖が今度は若者を、正社員を目指す苛烈な競争に駆り立てたのである。~

~「正社員になれ」という強迫的な言説に強烈な違和感を持った。なぜなら規制緩和をはじめ、財界や政界では「非正規雇用を増やす必要がある」と盛んに論じ、また実際にそのようにしてきたからだ。~

我が国はバブル崩壊から立ち直るために、コストカット、リストラをし、非正規雇用者を増やしてきた。そのような格差を意図的に生み出し、生き残りへの競争をさせているのだ。

~多くの違法行為が存在し、凄惨なハラスメントの横行といった状況にもかかわらず、相談者はみな「自分が悪い」と口々に訴えた。~

~「自分が悪い」と思う状況を作り出すことが、ブラック企業労務管理の特徴ともいえる。~

「自分が悪い」という言葉に類似したものに「私の仕事が遅いから」がある。夜遅くまで職場に残っている自分を嘆きつつ、仕事が遅いから仕方がないと言っている。仕事が遅いのではなく、仕事が多いのに。

私は、そういう状況を、反省的に自分に向けるのは好ましくないことと思っている。「自分のせいだ」「自分が悪いのだ」、そうやって自分に向けていたら問題は解決しない。問題を表面化したくないから、自分に向けてしまえば、かえって楽なのかもしれない。