読書『ワークショップ』Ⅲ

 

モノがあふれたわが国では、よく「本当の豊かさ」が問われる。その答えの一つにワークショップがある。

ーワークショップの現代的な意義は、モノの所有などではなく、「人と人」「人と自然」の関係の中から生じる「歓び」や「豊かさ」をしばしば実感させてくれることがまずある。とてもシンプルな歓びの中にこそ、人が求めているほんとうの「豊かさ」の一端があるような気がする。ー

モノにあふれ、スマホが浸透し、人とのつながりも異様になった。ワークショップはつながりを回復する手段だ。何度も言うが、現在の学校の「学習机」ではつながれない。

ーワークショップは人間の生きることの歓びを思い出したり、自然も他者も収奪しない生存の美学の方向に欲望と感受の能力を展開する練習の場であると思う。お互いの多様な存在や関わりが全体を豊かにし、WIN/WINの関係を可能にする「相乗性」への試みなのだ。ー

ーワークショップでの傾聴を基本とし、他者のありのままを受け入れ、正直な自分を受け入れ、自他を尊重し合うような関係は、この根元的要求を満たす方向だ。それはお互いの人間としての成長と自己実現を促進する。ー

我々は、違っていて当たり前ということになかなか気づけない。いや、違っているものを排除しようとしてしまう。ワークショップは違いを認め合う体験となる。

ーその時、皆が違っている方がよい。同じものや似たものの集合でなく、様々な違った個性や経験を持った個が集まった方が豊かだ。多様な違い、多様性を厄介なものとしてでなく、豊かさとして生かすこと。そこにお互いの多様な違いを生かし、かつ共に生きることができる多様性と共生へのヒントもある。

ブログを始めて本を読みなおして、関係する本を買ってしまったのは初めてだ。ワークショップをあらためて学び直したい。