読書『ワークショップ』(中野民夫)


ワークショップ―新しい学びと創造の場 (岩波新書) – 2001/1/19 中野 民夫 (著)

学校現場が変わるのだとしたら、カギはワークショップの積極的な導入だと思う。ワークショップは次のように定義されている。

ー「先生や講師から一方的に話を聞くのでなく、参加者が主体的に議論に参加したり、言葉だけでなくからだやこころを使って体験したり、相互に刺激し合い、学び合うグループによる学びと創造の方法」ー

トーキングスティックというモノが重要な役割をすることは発見だった。

ー棒を持っている人だけが話し、持っていない人は聴く。この棒一本で雰囲気ががらりと変わる。最後までしっかり聴いてもらえるのはうれしいし、遮られない安心感がある。お互いに深く耳を傾け、傾聴し合う場が自然に出てくる。そして自ら主体的に動き出そうという主体性がはぐくまれる。ー

輪というものにも意味がある。

ー輪になって座るとお互いの顔がよく見える。お互いに適切な反応がしやすく、インタラクティブな場になる。ー

ー誰が上でも下でもなく、良くも悪くもその場を作る責任と権利は一人一人に等しくある。今自分がこの輪の一部を担っているのだという自覚が促される。ー

ー輪の内側に向いている半分は、共同体の一員として合意できる部分で、輪の外側の背中の方の半分は個人としての自分なのだ。グループやコミュニティの一員であり、合意するからといって個人であることを否定するものではないのだ。ー

大いに共感できる。だが、実際の教室では一人一人に無機質な学習机があてがわれ、教壇に向かって整然と並べられている。こういったワークショップをするために輪になること一つが大変な手間がかかる。

教師の本気があれば、できなくはなかったのだけれど。