読書8‐4『さらば脳ブーム』Ⅱ

高齢者を対象としたドリル学習が大きな効果をもたらしたのだ。

~読み書き計算の生活介入を始めて1~2か月たって、これまで見たことのない変化が高齢者たちに起こった。昔の自分を取り戻して全く別人のように変わった人、オムツが取れてしまった人まで出てきたのである。本当に別人のように明るく元気になっていったのである。~

~いろいろな意味で生きる意欲を取り戻し、それが運動機能の回復にも良い影響を与える、髪の毛が生えたり、白髪が黒くなったりする、学習中に血圧が安定することがわかった。学習療法を行うことで、心身の状況がよいスパイラル状態に入り、さまざまなことが改善し、生活の質を向上できる。~

こう見ると、筆者の業績って素晴らしいなと感じる。だが、ただ闇雲に読み書き計算をすればいいものでもないのだ。

~また必ず支援者は学習者と共に学習療法を行い、学習者が教材を解けたことを認め、それをお互いに喜び、機会があれば教材を元に会話をすることが原則である。~

ここに、この学習療法の難しさがあるのだ。支援者のここまでの努力や態度があってこそ、高齢者も激変するのだ。

それは学校現場で取り組んだ百マス計算も同じだ。ただ機械的にやらせるだけではだめなのだ。毎回タイムや点数を記録する、記録が向上した子どもを称賛する、振り返りを書かせるなど、周辺支援があってこそなのだ。(R5.5/22記)