読書8‐4『さらば脳ブーム』(川島 隆太)

さらば脳ブーム (新潮新書)  – 2010/11/1 川島 隆太 (著)

私が筆者の名を初めて知ったのは、まだ民間教育研究サークルに入りたての頃、その全国大会で講演を聞いたからだ。そのサークルの主張の柱は百マス計算。以下のように読み書き計算の効能を謳う筆者と親和性が合ったのだろう。もちろん、講演の内容など全く覚えていない。

~読み書き計算というのは、学習行為であるのと同時に、緩やかなワーキングメモリーレーニングになっているのではないか。~

~読み書き計算を行うと子どもも大人も左右の前頭前野を含む多くの領域が活性化する。ワーキングメモリーを使う作業である。~

~読み書き計算のドリル学習による緩やかなワーキングメモリーレーニングが社会性の発達という認知機能まで改善させている。~

読み書き計算を行うことは、ワーキングメモリーのトレーニングになる。前頭前野が活性化する。認知機能まで改善させる。筆者はこのようなことを明らかにしている。それはそれで結構なことなのだが、現在の学校現場では、著書が出版されたころより、読み書き計算の能力は圧倒的に衰えているといえよう。読み書き計算はアナログの世界。タブレットの普及に逆行している。『さらば脳ブーム』とは、『さらば読み書き計算ブーム』だ。(R5.5/21記)