読書7-15『2020年からの教師問題』Ⅴ

教育改革を阻む原因は教員にもあるようだ。

~何が教育改革を難しくしているのか。それは日本の教師のメンタリティなのです。3つの問題点があると考えられます。「教師なのに主役感を持ってしまう」「生徒のモヤ感を許容できない」「知的好奇心を忘れている」~

まず「教師の主役感」という点から。

~指示をされたことを実行し、また指示を待つ、この繰り返しのサイクルが教師と生徒の間に生まれていくのです。問題は生徒たちが自分で考えなくても「正解」にたどり着くことができることです。「指示する、指示を待つ」の関係性が教師と生徒の間に結果的に構築されてしまえば、それは「主体的」に学ぶことの妨げにしかならないのです。~

教師の指導言は「発問・指示・説明」である。指示することは教員の性分だ。主体性を育むために指示するな、と言われたら、路頭に迷う教師が続出するのではないか。はっきり言って学校では様々な点で指示によって子どもを追い立てている。消化しなければならない学習、活動、行事がてんこ盛りなのだ。できるだけ無駄のないように明確な、洗練された指示を出すように努めている。こんなふうに否定的に考えてしまうのが、反改革のメンタリティなのかもしれないが。

~教師が「主役感」を持つと、生徒に結果を強く求めるようになることです。生徒が結果を出すことで、教師自身が周囲に認められたいと思ってしまうのです。生徒が結果を出すこと自体が教師の目的になってしまうと、生徒が途中過程で悩んだり失敗したりすることは無駄なことととらえてしまいがちです。~

子どもの主体性は別としても多くの教師は「認められたい」と無意識に思っていることだろう。それは教師の勤務状態に表れている。勤務時間の中で到底こなせない仕事を抱え、時間外にも働くのは「認められたい」願望のためだ。そして何より、教師は、子どもに認められたいのだ。そのために、スキを見せぬよう過剰に準備をする。「我こそは教師、俺を認めてくれ」という教師の承認願望は、主役感を言い換えたものかもしれない。(R5.2/22記)