映画『桜色の風が咲く(2022)』

桜色の風が咲く(2022)監督 松本准平

たいして大きなものではないがずっと気にしていた仕事が終わり、開放感で満たされ映画を観ることに。某サイトを調べていたら、本作が評価が高く、コメントにも『観るべき作品』だと。隣市のミニシアターでは、今日が上映最終日。遅い上映だが鑑賞へ向かった。

力強いパワーを感じる作品です。実際にあった話というのが、ストーリーを鬼気迫るものにしているのです。作中の医者が主人公の病状を「不運」と言った。母親は納得しないが、それ以外の言葉があるのだろうか。それは誰にでも起こるかもしれない。それが、我が娘だったら、我が孫だったら、という途方もない不安感に襲われました。

主人公は病気によって次々に不自由になるのですが、生来の明るい性格が唯一の救いです。それでも無情に迫りくる病魔。しかし希望を失わない彼の心境は、まさにフランクルの『夜と霧』そのものです。本当にこの境地になるには、これだけの困難を乗り越えなければならないのかと痛感したのでした。私はそこに最も心を打たれました。これは名作といってもいいのではないか。(R5.2/10記)