読書7-3『「こころ」の本質とは何か』Ⅳ

今回は「自閉症」についてだ。

~人間にはふつう「〈人間はめいめい考えを持っている〉という考え」すなわち「心の理論」が備わっている。これが他の動物との違いである。自閉症にまさにかけているのは、この「心の理論」である。この欠陥が自閉症の本態で、その結果、社会性が大きく障害される。~

「心の理論」の欠陥が自閉症なのだな。

~脳のどこかに「心の理論」をなりたたせる領域ないし神経回路があって、その部分のおそらくは生得的な生物学的障害が自閉症に違いない。~

~人間のこころの世界は個体の外にひろがる共同的な関係世界を本質としており、その共同性を獲得してゆく歩みが精神発達です。すでに心の世界の共有を成し遂げている大人たちとの不断の交流があって初めて、生まれ落ちた子どもは共有可能な、すなわち共同的な認識の在り方や行動様式を自らも獲得してゆけるのです。~

自閉症の子どもたちには、大人たちとの不断の交流が必要なのだ。そうすることで社会性を養ってゆけるのだ。

自閉症に他人のマインドを推し量る能力の遅れを指摘するなら、ひるがえってそういう私どもが彼らの体験世界もどれだけ推し量れているか、そこが問い返されるでしょう。~

人の心など推し量れて当たり前、という意識ではいけない。推し量る能力が未発達な者の心を推し量ることが求められているのだ。(R4.10/25記)