読書7-3『「こころ」の本質とは何か』Ⅴ

今回はアスペルガー症候群である。

アスペルガー症候群の特徴を一口で言えば、持ち前の資質や興味さえあれば独力でも習熟しうる物事においては高い能力を発揮する一方、密接な対人交流や社会体験の積み重ねを通さないと身につかない物事においては極端な未熟さや遅れを抱え、そのギャップの大きさが目立つことです。~

~どこでつまずくかといえば、言葉の「綾」や「言外の意」「行間」が著しく読めないのですね。この子どもたちは言葉の通りにとります。~

学校現場にいると「額面通りにしか受け止めない」という子どもはいる。そんな子への指導言は気をつけなければならない。「漢字の練習をしなさい」ではだめだ。「鉛筆を持ちなさい。」「その字をなぞりなさい」と指示を細分化することだ。

~現代の社会では私たちの共有する関係性・社会性・共同性がとても複雑高度になったからですね。裏返せば、今の社会だからこそ「障害」化したとも言えないでしょうか。~

時代が変わると「障害」の見え方も変わってくるのだ。

~現代では第3次産業(消費サービス)つまり「人」を対象とするわざが社会の基幹となりました。それを中心に社会がまわっていますでしょう。そのため、高い社会性対人能力が誰に対しても求められるようになったのです。こうした社会ではわずかな関係の遅れも失調や問題性として炙り出されるでしょう。これが現在「アスペルガー症候群」の社会的増加を生み出しているのではないかと思います。~

我が国の歴史を見ると中心産業は第一次産業から第二次産業へと変わってきた。そして今や第三次産業が大きな割合を占めている。工業立国からサービス立国へ。黙々とモノづくりに励めば済む時代ではなくなったということだ。全体に高いコミュニケーション能力を要求されると、低い者が目立つということか。(R4.10/26記)